若者憲法集会 憲法の価値を広げ選挙で政治を変えよう

「同じ思いを持った青年がたくさんいて感動した」「私たちが活動したり選挙に行くことで未来をつくれると自信が持てた」―。5月15日、都内で若者憲法集会が行われ全国から1100人が参加しました。集会後のデモには4千人が参加し、街頭の人々に向けて7月に行われる参院選での投票を呼びかけました。(文中は一部仮名、増田哲明記者)

集会アピールは参加者の拍手で確認された

集会アピールは参加者の拍手で確認された

憲法生かした政治を
午後に行われた全体会のシンポジウムでは、弁護士の矢崎暁子さんとNPO自立生活サポートセンター・もやい理事の稲葉剛さんが、憲法の価値などについて話しました。
最初にテーマになったのは「個人の尊厳」でした。憲法13条には「すべて国民は、個人として尊重される」と書かれています。矢崎さんは「個人の尊重は日本国憲法の人権規定で一番の根本だと考えられている」と話すと同時に、自民党の改憲草案では「個」を削除して「人として尊重される」と書き換えられていることを指摘。改憲草案の条文からは「公益および公の秩序に反しない表現しかしない人」「家族で助け合って国に助けを求めない人」といった自民党が求める「あるべき人間像」が見えてきます。矢崎さんは改憲草案を、そうした「人間像に当てはまる人だけが尊重される社会にしたいんだろう」と批判しました。
学生時代から生活困窮者の支援活動に携わってきた稲葉さんは、2008年の「リーマン・ショック」後に全国で多くの労働者が派遣切りに遭い、なかにはホームレスになった人がいた時、「一番使ったのは憲法25条だった」と話しました。25条には「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とあり、これに基づいて生活保護法があります。当事者だけでは申請窓口で不当に申請者を追い返す「水際作戦」が行われるため、稲葉さんら支援者が同行して生活保護を受けさせるとりくみが全国に広がりました。家族や国民相互の助け合いを押し付ける社会保障制度改革推進法などによって、25条の破壊が進められようとしてることに警鐘を鳴らしました。
さらに話題は、経済的に困難な人が軍隊に入らざるを得なくなる「経済的徴兵制」になりました。「経済的徴兵制は戦後日本にずっとあったんじゃないか」と稲葉さん。貧しい農家の出身で仕方なく自衛隊に入ったが、自衛隊を辞めた後に仕事に就けなくてホームレスになったという人と出会ってきたといいます。「戦争法が通って自衛隊員の命のリスクが高まると分かっているので今、志願者が減っている。防衛省はますますしゃかりきになって経済的に苦しい家庭の子どもたちを集めて歩くんじゃないか。経済格差、貧困は命の格差になっていく」と強調しました。
集会に参加した香川の椎名雅美さん(21)は「一人ひとりが違って当たり前」「自分のいいところも悪いところも大事にされる」と「宣言してるのが憲法だと多くの人に知ってもらいたい」と話します。貧困問題などの解決のためには「みんなが自分らしく生きられるように一人ひとりの尊厳を大事にすること。それは憲法を生かした政治につながると思う」。
「身近に戦争法の問題を考えることができた」と言うのは都内に住む大場明子さん(23)。経済的徴兵制の話を聞き「貧困や経済の問題と戦争がつながっていると分かった。戦争法反対の思いがより強くなった」と話します。

政治について話していきたい
シンポジウムでは、若者の政治参加についても話されました。稲葉さんは「日本には政治的な話をして対立が起きることを極度に恐れる風潮がある」と指摘。「少しずつでも政治について話さない文化を自分から変えていく気持ちを持つことが大切」と話しました。

司会の青年とパネリストのやり取りが会場を盛り上げた

司会の青年とパネリストのやり取りが会場を盛り上げた

「自分が大事だと思って話したいことでも、軽い話題の方が考えないでいいから楽だと自分も日常的に感じる」と椎名さん。「でも、みんな心のどこかでは自分にとって大事なことを話したい気持ちがあると思う。勇気を出して話していくことが大事」と言います。
シンポジウムでは司会のじょーさんから「友だちに政治を身近に感じてほしい。興味を持ってほしい」と思って政治の話をしても反応が得られないという悩みが出されました。じょーさんに対して、矢崎さんは自身が中学時代に弁護士の話を授業で聞いてから弁護士を目指すようになったことを話しました。「当時は私が(弁護士の話を聞いて)感動していたなんて誰も気付いてなかったと思う。じょーくんの話も友だちの心のどこかにとどまって、何かをきっかけにじょーくんの顔が浮かぶのよ」と励ましました。稲葉さんは「デモをすれば人が集まるけど、大学の友だちに話しても反応がなかった」と大学時代の活動をふり返りつつ「10年、20年後に会ってみたら話せたりすることがある。ネットで活動を見たり、応援してくれていたりしたと後で分かることがある」と発言しました。
「私もじょーさんと同じことで悩んでいた」と言うのは長野の太田綾香さん(30)。矢崎さんらの励ましに「グッときた」と言います。デモなどは「やっても意味ないのかな」と思うこともあるといいますが「沿道で見てる人たちの中の誰かに何かを与えられたらいいなと思った。すごく勇気をもらった」と話します。(2面につづく)