憲法の力 多彩なテーマで 分科会

若者憲法集会全体会に先立ち、午前中に8つの分科会が開かれました。分科会はさまざまなテーマで憲法がうたう「個人の尊厳」を守り生かすための道筋を考えました。 (文中は一部仮名)

第五福竜丸の展示のフィールドワークにとりくんだ第8分科会(東京・新木場)

9条生かした国際貢献  戦争法
「『戦争法VS.憲法9条』~この国の未来をどちらに委ねるか」がテーマの第1分科会では、平和新聞編集長の布施祐仁さんが講演しました。
布施さんは戦争法によって米国への軍事協力を拡大し、「いざというときに米国に守ってもらおう」という考え方で、「本当に国民のリスクは下がるのか?」と疑問を提示。戦争法の現実の危険として①治安維持活動や「駆け付け警護」や任務遂行のための武器使用が可能②国連PKO(国連平和維持活動)以外の軍事行動も参加可能③米軍などへの「後方支援(兵たん)」はこれまでの「非戦闘地域」という縛りを廃止。戦闘現場でなければ武器・弾薬の補給も可能―を挙げ、海外派遣での任務が大幅に拡大し、交戦する可能性が飛躍的に高まると指摘しました。「あと一歩で引き金を引くというところまでいった」という自衛隊のイラク・サマワ派遣の事例や、自衛隊が市街戦や人を撃つ訓練をしている実態を告発した布施さんは、現在自衛隊が派遣されている南スーダンのPKOに戦争法が適用された場合、自衛隊が発砲し地元の人を殺してしまう危険性が生じると話しました。
憲法9条を持つ「日本だからこそできる国際貢献の道を」とうったえた布施さんは、人質事件での交渉や元兵士の武装・動員解除など、武器を持たないことで発揮できる役割があることを話しました。また、他国の脅威を煽る軍拡競争はかえってリスクを増やすと話した布施さんは、中国は日本の最大の貿易相手国であり両国は「戦争できない関係」になっており、紛争を武力衝突に発展させない対話や外交の努力を進めることを呼びかけました。
分科会に参加した高橋香織さん(大学4年)は、「自衛隊が南スーダンに行って何をしているのか想像できていなかった。人型の的への発砲訓練とかをやっている。後方支援じゃないし、安倍政権がしたいことは本当に戦争なんだと思った」と話しました。

沖縄を戦場にしないために    米軍基地
第5分科会では「どうする沖縄・辺野古?日米安保条約ってなんだ」と題して、多くの県民の反対にも関わらず強行されている沖縄・辺野古への米軍新基地建設の問題を考えました。
最初に、沖縄出身で戦争法に反対するたたかいにとりくんできたシールズ琉球の元山仁士郎さん(大学4年)と、辺野古新基地建設反対のとりくみを進めてきた「ノーモアベースフェス」呼びかけ人で弁護士の竹村和也さん(31)が基調報告をしました。
宜野湾市の普天間基地の滑走路の延長線上に実家や学校があるという元山さんは、米軍機の騒音で授業が中断したり、落下物の被害がありながらも「当たり前」「仕方ないと思っていた」と言い、「米国の豊かな生活や文化に憧れもある」と沖縄で暮らしてきた自身の思いを話しました。
東京の大学に進学した元山さんは、基地が身近ではない生活を体験する中で「なぜ騒音の中で暮らしていたのか」と米軍基地について考えるようになったといいます。東日本大震災の福島第1原発で政府が情報を隠し、「住民を黙らせる姿勢を見た」元山さんは、「原発事故は沖縄と似ていると思った。『原発やめろ』とデモをする人たちを見て、おかしいことはおかしいと言っていいと思った」と自身の変化を語ります。元山さんは、面積の20%を米軍基地が占め、自衛隊の基地建設計画がある沖縄は「安保法制(戦争法)と不可分」と指摘。「沖縄で訓練をして、海外へ行く。日本で最初に狙われるなら米軍基地が集中する沖縄。故郷が戦場になる」とうったえました。
竹村さんは沖縄に米軍基地がある背景に日米安全保障条約があるとして、首脳同士でガイドラインを決め国会を軽視するしくみを批判しました。日米地位協定により、米国が米軍基地を「使いたい放題」であることを挙げ、「安保条約は日本を守るためのものではない。このままの体制でいいのか、見直す時では」と呼びかけました。

被災者の声に寄り添う政治を     福島
第6分科会では、福島で仮設住宅での聞き取りやフィールドワークにとりくんできた日本共産党福島県委員会の野口徹郎さんが基調報告をし、福島の現状と憲法を生かした復興を進めるため、どんな政治が求められているのか考えました。
野口さんは、福島第1原発事故によって放出された放射性物質により、帰還困難区域(同原発から20㌔圏内)など3つの避難指示区域に分けられ、今なお9万5千人が県内外で避難を余儀なくされており、避難区域の線引によって生活や生業の再建の賠償などで格差が生まれ県民が分断されていると告発しました。「原子力緊急事態宣言は解除されていない」と事故収束の見通しもつかない状況を報告した野口さんは、県民の半数が「普段の生活で放射能を意識している」実態を話しました。
野口さんは、困難な状況の中で「あんな思いはもう誰にもしてほしくない」と声を上げ続けてきた住民の願いや思いを、安倍政権が踏みにじっていると批判。原発の再稼働や海外輸出を推し進めるため「事故を終わったかのようにしている」と、賠償の打ち切りなどを進める安倍政権に対して「加害者が被害者を切り捨てようとする。そんな不条理がまかり通っていいわけがない」と怒りを込めました。県民の願いである原発廃炉や賠償、避難者の帰還と除染について「政治が決断すれば解決できる問題」と強調しました。
福島で暮らし、社会に声を上げてきた青年からのスピーチもあり、「原発はいったん事故が起きると生活を一瞬で奪う。憲法から考えても平和に生きることと相いれない」などとうったえました。