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日本民主青年同盟

学生生活交流Site

“世界一高い”日本の学費
教育の機会均等うばう高学費
学生たちの運動が政府をうごかした!

「お金の心配なく学びたい」――世界の流れは“学費無償”です。
学費値上げストップと奨学金の充実で安心して学べる大学をつくろう

大学で何をどう学ぶ?

シリーズ「自然と社会を科学する」

大学での学びを考える
 ――社会科学への誘い

佐久間英俊さん(中央大学助教授)

データベース



「親の年収が400万円未満なら授業料は免除」――東京大学で年収のみを基準とした授業料免除制度が実現しました。東京大学の学生自治会や全日本学生自治会総連合などの粘り強い運動が実ったものです。(文中は一部仮名)



100クラス以上をまわり1447人から署名

「"本当に実現するのか?"って思ってたから、ビックリだし感動です」――こう話すのは東大3年の柴田和宏さん(現・全学連副委員長、右写真)。05年10月、「授業料・入学金を値上げしないこと」「奨学金や学費免除を拡充すること」などをもとめる総長あての署名を手に、学内を駆けまわった一人です。
 「授業前に教室をまわって、学費のパネルを見せながら説明してうったえました。"前から署名用紙をまわしますので後ろの回収箱に入れておいてください"ってお願いして、急いで自分の授業に移動するんです。休み時間に見に来ると、思った以上に集まっている。多くの人が学費で困っていると実感しました」

「3食食パン」… 学内が変化

最初は「自分は困ってないし…」と反応が鈍いことも。しかし学生への聞き取り調査では、「合格したよろこびもつかの間、入学金28万円に困り、親せきをまわって支払った」「塾講師4つに添削の相談員で忙しく、授業が副業」「3食すべてを食パンにして切り詰めている」などの実態が寄せられました。実態を掲載したビラを連日発行し、門前宣伝などで連日3000枚を配布するなかで、「バックナンバーがほしい」という学生もあらわれるほど関心が高まり、「学費問題が学内で共有されてる」(柴田さん)状況に。1カ月で1・2年生の全クラス(100数十クラス)をまわり、教職員やOBの協力もひろがって1447人分の署名が集まりました。

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学生の要望に副学長が「ガイドラインしめす」

▲「高学費の解決は、国民一人ひとりのためになる大学づくりにとっても必要」と話す西川さん

学内世論がもりあがり、11月には古田元夫副学長(当時)と学生自治会の懇談会が実現しました。

自治会委員長だった西川治さん(現・全学連書記長)は、「免除をうけている学生は全学生の2〜3%だが、世帯年収350万円未満の学生は7%もいる」などの事実や、「バイト漬けで勉強時間がないのに、成績が下がったら免除から落とされそうで不安」という声をもとに、「成績を免除審査の対象にするのはおかしい」「免除枠を拡充し、基準を明確にしてほしい」とうったえました。

古田副学長も「免除は経済的に困難な人の救済というのが基本的な位置づけ」「この水準以下であれば基本的に授業料免除になります、というガイドラインをしめす努力をしたい」と回答。さらに「みなさんのアンケートは貴重な資料。大学として十分勉強させていただきたい」とのべました。

「1時間でも勉学に」

この懇談から約2年。東京大学は免除制度を大幅に拡大しました。学生の要求を反映した格好です。大学側に話を聞くと「4月から総長もふくめて検討を始めました。年収450万円未満の学生が13%いて、家計に占める教育費も年々ふくらんでいます。全学生にとはいかないが、できる範囲からということで400万円を基準にしました。一時間でもバイトをへらしていただいて、勉学をしてほしい」というコメントがかえってきました。

西川さんはいいます。「"カネのある東大だからできる"という声もありますが、カネのある大学がやらなかったらどこもやらない。東大から全国の大学にひろげていきたい」

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政府は「大学の裁量で」という態度

▲「免除枠がひろがってよかった」と話す学生たち(東大駒場キャンパス)

文部科学省に「東大の措置をどう見ていますか。ほかの大学でも免除枠拡大がもとめられるのでは」とたずねました。担当者からは、「現在も一定の授業料免除を運営費交付金(国立大学向けの補助金)でだしています。あとは各大学の裁量。東大の措置がいいとも悪いともいえません。苦学生の数などの統計もないのでなんともいえません」とのコメントがかえってきました。

担当者は同時に、「運営費交付金が毎年1%ずつ削られているので、東大のような措置は体力のない大学にはできない」と話します。「だからこそ、政府が積極的に支援するべきではないですか」とかさねて質問しましたが、「各大学の裁量で」という姿勢はかわりませんでした。

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世界一の高学費 いまこそ転換を

▲国会要請をする学生たち(6月)

日本の学費は国公立大学で約82万円、私立大学で平均131万円(ともに初年度交付金)で世界一です。1970年から国立は45倍、私立は9倍にもなっています。

あいつぐ学費値上げは学生と父母を直撃し、アルバイトをする学生は7割にのぼり、家庭からの給付だけでは「修学継続困難」「修学に不自由」という学生は96年の27%から02年の45%に急増しています。私立大学では年間57000人を超える中退者のうち19%(10663人)が「経済的困窮」を理由にあげています。

大学をめざす人にとっても深刻です。

神奈川県の小沢智朗さん(18歳)は3月に高校を卒業しました。「保育士になる」という夢がありますが、大学や専門学校に行くお金はありませんでした。「両親の離婚でいまは父子家庭。週4日居酒屋でバイトして、なんとか200万円ためたいけど、キツい。学費さえなんとかなれば、あとは勉強をがんばるだけでいいのに…」。

表に出ていない苦しみ、悲しみがたくさんあるのではないでしょうか。その声をひろく社会にアピールし、政府の姿勢を転換させることが、いまほどもとめられているときはありません。



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無償化に日本も舵を切るとき

 ――三輪定宜・帝京平成大学教授の話

今回の東京大学の措置は、一番困っている学生に手を差し伸べた点で評価できます。政府が運営費交付金を毎年1%削減しているもとで大学が財政難なのは事実ですが、学生はもっときびしい事情をかかえているのですから、困難軽減のために努力するのは当然です。

そもそもの原因は、政府が国連人権規約の社会権規約第13条2項の「高等教育無償化条項」を留保して、無償化の努力を放棄しているところにあります。国連から「留保撤回の検討」を勧告されても棚上げにしたままです。主要国でこんな国は日本しかありません。

アメリカやイギリスは給付制の奨学金があり、お金がない人でも私大に入学できます。北欧では学費はすべて無償です。日本では学びたいのに進学できず、大学に入ってもバイトに追われる。貸与制奨学金は4年間で数百万円の借金となります。教育費の高さが少子化の原因にもなっています。OECD(経済開発協力機構)30カ国平均の学校教育予算はGDP比5.2%。日本はわずか3.5%(08年)で最低ランク。OECD平均に引き上げるだけで8.4兆円もふえるのに、それをやろうとしない。政府の責任は重大です。

政府はただちに運営費交付金や私学助成を増額し、まずは最も困難な学生から重点的に援助していくべきです。そして日本も無償化にむけて舵を切ること。大学の努力に委ねるのではなく世紀の決断をするときです。

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