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学習のページ 全国青年雇用大集会の第3回実行委員会が3月16日、おこなわれ、全国労働組合総連合の坂内三夫議長が講演しました。要旨を上下連載で紹介します(民青新聞4月9日,4月16日付に掲載)。
■激動の情勢のなかで、大きな運動を みなさんこんばんは。全労連議長の坂内三夫です。きょうは、「5・20集会を青年要求実現の突破口に」をテーマに話したいと思います。 労働運動でも、青年運動でも、ときどきの情勢や力関係をよくみて、それにふさわしい運動を展開することが必要です。一般的には、情勢が厳しいときには、じっくり腰をおろしてねばりづよく運動を展開する、情勢が有利なときには派手に目立つ運動を展開する。逆に情勢が厳しいのに、うかれていては運動は前進しませんし、情勢が有利なのに、小さくまとまっていては、前進できないと思います。 では、いまの情勢はどうでしょうか。私は、いまの情勢はあの戦国時代や明治維新にも匹敵するような激動の時代だと思います。 いま、政府は憲法改悪の攻撃をつよめています。しかし同時に、相手の矛盾も深まっています。安倍政権発足から5カ月たちました。政権発足時の支持率は71%でした。内閣発足の支持率としては、歴代内閣のなかでもっとも高かったのです。しかし、それが現在、37%までおちこみました。自民党内からも、安倍氏では参院選はたたかえない、とささやかれるほど求心力が低下しています。 いままさに激動の時代をむかえています。その主役となるのは、みなさん青年です。21世紀初頭の今日、みなさんがその主役として、運動をひろげてほしいと思います。 ■格差と貧困はなぜひろがったのか さて、日本社会の最大の問題は何かを考えたいと思います。私は、格差と貧困の問題だと考えています。なぜ日本で、格差や貧困がひろがったのでしょうか。 かつて日本には、定年までは雇用を保障する終身雇用制度、わずかでも給料があがった年功序列賃金制度、会社の利益を第一に考える労使協調の企業内労働組合という三つの制度がありました。財界はこれを「三種の神器」とよびました。 しかしグローバル化のなかで、国際競争で勝つためには、終身雇用制度も、年功序列賃金もじゃまになり、一方的に廃止しました。いまの職場は一生懸命働いていても、いつクビを切られるか、いつ賃金を下げられるかわからない。労使協調の労働組合さえ無視して経営者が一方的に決めてしまうのです。この十数年間、雇用や賃金の問題で、大企業の一人勝ちがすすみました。その結果、パートや臨時、派遣や請負という非正規雇用が労働者全体の3分の1、青年や女性の2人に1人をしめるようになりました。 私たち全労連はこれに反対してたたかってきました。しかし、政府は全労連をナショナルセンターとして認めず、財界は全労連とはまともな労使交渉に応じない。マスコミは全労連のたたかいを知らせないという状況がつづいてきました。そのなかで、労働者は「労働組合に入っても要求なんか前進しない」「政府の悪法にもほとんど賛成してしまう」――そういうイメージがひろがり、労働組合ばなれをすすめてきました。それがまた、労働者の状態悪化に輪をかけるという悪循環につながってきたように思います。 いまは学校を出ても仕事がない。あっても、ほとんどが非正規雇用で、年収は150〜200万円程度。まともな生活ができないのでダブルワーク、トリプルワークで働く。それでもワーキングプアからぬけだせない。その一方で、大企業は史上空前の利益をあげています。トヨタ自動車はことし3月期の決算で、2兆2千億円の利益をだしました。 格差と貧困は、個人の努力不足や責任で生じたものではありません。労働者を安い賃金で長時間働かせる、そのために政府が労働法制を次つぎに改悪し、企業がパート、派遣、契約、請負と労働者をボロ雑巾のように使い捨てて大もうけをする。格差と貧困は、政府と財界の政策によってつくりだされたものです。 ■最低賃金引き上げは世界の流れ しかしいま、日本の労働運動に新しい変化のきざしがうまれています。青年が立ち上がれば、経験したことのないような前進ができる、そういうチャンスをむかえています。そのことをいっしょに検証してみたいと思います。 私は、みなさんが行動に立ち上がったら前進できる運動を三つ、あげたいと思います。これは、格差と貧困、ワーキングプアの解消にとって決め手になる運動です。 一つは、最低賃金を引き上げる運動です。現行の最低賃金は、一番高い東京で時給719円、一番低い地域で610円です。いま最低賃金スレスレで働く労働者は1千万人、日本の労働者の約20%で、年収150万円以下で働いています。全労連は、最低賃金の引き上げを要求して運動にとりくんできましたが、この10年間で10円しかあがっていません。しかし長年の運動が反映して、最低賃金をめぐる情勢が大きくかわっています。 ことし国会で約40年ぶりに、最低賃金法が改正されます。すでに法案が国会に出ました。引き上げに反対してきた与党の議員からも、“日本の最低賃金は低すぎるのでは”“働いて手にする賃金が生活保護費よりも低いのは問題だ”という声があがっています。 しかし、一番低い最低賃金610円を1千円にするには、390円引き上げが必要です。これを一年で引き上げるのはムリではないのか、という疑問もあると思います。しかし、いま最低賃金引き上げは、世界的な流れになっています。アメリカでは、昨年11月の中間選挙でイラク戦争とともに格差と貧困、最低賃金が争点となり、最低賃金を2ドル10セント、日本円で240〜250円を引き上げる法案が下院議会を通過しました。イギリスでもこの8年間で、最低賃金が810円から1240円に1・5倍に引き上げられました。このアメリカやイギリスの流れはかならず日本にも影響を与えます。 いま、5月20日の青年雇用大集会をめぐるとりくみで、大々的に運動をし、世論をつくっていくならば、日本でも最低賃金の大幅な引き上げを可能にする情勢をむかえています。 最低賃金を1千円に引き上げると、日本経済に2兆6千億円の経済効果をもたらします。引き上げられた分は個人消費にまわされて、地域経済の活性化につながります。最低賃金の引き上げは労働者の生活保障になると同時に中小零細業者の経済を活性化します。この運動が全国的に前進すれば、最低賃金は引き上げられると私は思います。(つづく) ■青年自身の運動が政治をうごかしている 二つめは、大企業の社会的責任の追及と働くルールの確立の問題です。財界が「三種の神器」を廃止して、95年に『新時代の「日本的経営」』という方針をだしました。これにもとづいて政府は、労働者の働き方を決める法律を次つぎ改悪しました。そのもとで何が起きたでしょうか。労働者の働き方がかわっただけでなく、企業の犯罪と欠陥製品が多発しています。JR脱線死亡事故、トヨタ自動車や三菱自動車のリコール、マンションの耐震強度偽装、湯沸かし器のガス漏れによる死亡事故、賞味期限切れの食品の販売など、異常な事態がすすんでいます。 これをすすめてきたのが小泉「構造改革」でした。しかし、小泉「構造改革」でもっとも痛烈な痛手を受けている青年や非正規の労働者が、むしろ小泉「改革」に期待するというねじれ現象が日本社会にありました。それがいまではどうでしょうか。若者や非正規労働者に格差と貧困、ワーキングプアがおそいかかっています。ワーキングプアは他人事ではありません。みずからの問題、家族の問題です。若者がみずからの実態を通して怒りを感じ、立ち上がるようになりました。 いま、各地で青年が労働組合を結成して、サービス残業や偽装請負などを社会的に告発して立ち上がっています。サービス残業ではことしだけでも200億円以上が支払われています。偽装請負では、徳島の光洋シーリングテクノや日亜化学、大阪の松下電器プラズマなど若者が直接雇用をもとめるたたかいに立ち上がり、東京の牛丼すき家でもたたかいを大きく前進させています。このたたかいと結合して、ホワイトカラーエグゼンプションの今国会の提出を断念させました。厚生労働省には、偽装請負を直接雇用で改善するよう通達をださせました。 この間の青年自身の運動によって、青年の働かされ方や生活の問題が、日本の政治の中心課題になってきています。 ■多くの労働者が労働組合をもとめている 三つめは、仲間づくり、労働組合づくりの問題です。去年の春、全労連は労働組合に入っていない青年向けにアンケートにとりくみました。「あなたは労働組合の必要性を感じますか?」という質問に、「いつも労働組合の必要性を感じながら働いている」と答えた人が16・9%いました。5年前の調査では2・4%でした。いま、日本の雇用労働者は5517万人います。このうち労働組合に入っていない人たちが4500万人います。その16・9%、930万人以上が労働組合の必要性を感じながら働いています。 私は労働組合にたいする青年労働者の意識が、急激に変化しているのだと思います。それなのに、まだ青年や非正規の仲間たちが行列をつくって労働組合に入ってくる状況ではありません。その理由をアンケートでたずねました。「なぜあなたは組合に入らないのですか」の質問に、40%の人が一度も組合加入をすすめられたことがない。職場に労働組合がありながらそう答えました。そのうち20%の人がよびかけられたらすぐに加入すると答えました。ガマンの限界を超えるような実態があるなかで、少なくない青年や非正規の労働者が労働組合を結成して自分もたたかいたいと望んでいるわけです。しかし、組合に入っていない青年たちはどうすれば労働組合に出会えるのか、その手段も知らないのがいまの実態だと思います。 仲間はふえないのではありません。まだふやすための本格的な運動になっていないのです。労働組合や各青年団体のよびかけが、まだ青年のなかに十分にとどいていないのです。5・20集会のとりくみをつうじて、青年ユニオン、あるいは民青同盟に入って現状をかえようようとよびかければ、大きな前進ができる情勢をむかえていると思います。 情勢は激動的に変化しています。最低賃金の引き上げでも、大企業の社会的責任の追及でも、仲間をふやすとりくみでも、そして政治の流れをかえるとりくみでも、たたかっただけ前進する情勢をむかえています。あとは私たち自身がどのようにたたかうかにかかっていると思います。 ■夢とロマンをもって青年のなかへ 最後ですが、青年のみなさんに夢とロマンをもってたたかってもらいたいと思います。 西武ライオンズの松坂大輔選手が大リーグの球団に入団する際、「大リーグ挑戦は、あなたの子どものときからの夢だったのですか?」と質問され、「大リーグ挑戦は夢ではありません。目標でした。夢は壊れることはあるけれども目標は壊れることはありません」と答えていました。 この言葉は昔からある言葉に直すと「夢八変化」という言葉になります。それは、一つ、夢ある人には希望がある。二つ、希望ある人には目標がある。三つ、目標ある人には計画がある。四つ、計画ある人には行動がある。五つ、行動がある人には実績がある。六つ、実績がある人には反省がある。七つ、反省がある人には進歩がある。八つ、進歩ある人には次の夢がある。これをくり返していくわけです。 夢とロマンは願望ではありません。夢を希望にかえる。希望はたんなる願望ではなく、目標につながります。目標をもてば計画をつくり、それを行動にうつして実績を上げる。実績におごることなく反省の気持ちを忘れない。それでこそ進歩があり、つぎの夢とロマンにつながっていくのだと思います。 労働組合は唯一、あらゆる団体のなかで経営者と対等平等に交渉する権利が法律によって保障されている組織です。国民の最大多数は労働者、働く人びとです。労働運動はあらゆる社会運動の土台となるものです。私は、夢とロマンをもって青年のなかに労働組合をつくらないといけないと思います。 5月20日の青年集会で、当日の集会を大きく成功させるとともに、その準備のなかで、あるいは集会後のさまざまなネットワークを通して、青年の要求を実現し、日本社会をかえていくきっかけとなる集会として成功することを期待しています。そのために全労連もみなさんといっしょに集会の成功のために全力をつくしてがんばりたいと思います。(おわり) |
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