試し読み-周りの幸せと結び付けた生き方を(2月8日付)

周りの幸せと結び付けた生き方を

働く先輩に仕事のやりがいや進路をどう選んだかを聞く「明日の自分に会いに」。今回は弁護士の白神優理子さんと教師の荒井遥さん(仮名)にインタビューしました。

WEB版白神さん

「民青や平ゼミで世の中は前に進んでいると学んだから、展望や希望があると伝えられる」と白神さん(1月26日、八王子合同法律事務所)

立ち上がった人の力に
白神さんは弁護士としての仕事のやりがいを「今の社会のおかしさに声を上げ立ち上がっている人の声を代弁して励ますことができるし、その声を社会に告発しておかしい制度を変えていくこともできる」と話します。白神さんが所属する八王子合同法律事務所では、過労死や過労自殺など労働の事件を多く取り扱っています。「相談者が企業にどれだけ苦しめられ、体や精神を病んでいったのかを事細かに証拠を集めていく。相談者の気持ちに本当に寄り添っていきたい」
高校生のころ進路を迷っていた白神さんに大きな影響を与えたのは、2000年の原爆症認定集団訴訟の最高裁での勝訴判決でした。当時、国は原爆症認定申請のほとんどを拒否していました。しかし、00年の勝訴を機に認定基準そのものを変える動きが生まれました。そのことを知り、「一人の人が立ち上がってその正しさを国に認めさせることによって、制度そのものも変えられる。世の中は前に進められるんだと感動した」と白神さん。「一人の人権を守ることを社会全体の幸せにつなげることができるのが弁護士の仕事」と白神さんは弁護士になることを目指しました。

白神さん

弁護士になってからの2年間で約100回の講演をしてきた(白神さん提供)

社会をつくる主人公は私たち
白神さんは「高校に入るまでは勉強は暗記するだけのもので、競争の階段から落ちないように必死になるしかないと思って過ごしていた」と言います。そんな白神さんの考え方を大きく変えたのが民青や高校生平和ゼミナール(平ゼミ)との出会いでした。「入学式でシール投票をしていた先輩に『高校生にだって社会は変えられるんだよ』と言われたのがすごく印象的で、こんなに前向きで生き生きしてる先輩がいるなら一緒にやりたいと思って入りました」
民青や平ゼミと出会って人生が180度変わったと白神さん。「高校までは人間は過ちをくり返すから、私ががんばったところで何も変えられないし、自分には生きている意味がないんじゃないかと悩んでました。でも民青や平ゼミと出会って、社会は自分たちがつくっているし、前に進めていけることを学んで、自分に自信を持てるようになりました。進学塾で周りの人を競争相手として見ていたけど、社会を良くしていく仲間なんだと思えるようになりました」

 

WEB版白神さんサブ2

相談を受けたときは「裁判での勝ち負けだけでなく、運動も視野に入れて解決策を見いだすことを心掛けている」と白神さん(1月26日、八王子合同法律事務所)

どんな生き方をしたいのか焦らずに考えて
今の日本社会では受験や就職活動など、進路選択を焦らされる状況があります。そんな中「自分はどんな生き方をしたいんだろう」と焦らずに仲間と一緒に考えることを大事にしてほしいと白神さんは話します。「どんな生き方をしたいのかを置き去りにして、『資格を取らなきゃ。この大学に行かなきゃ。この仕事に就かなきゃ』と焦ってしまうと、つらい現実を乗り越えていけないんじゃないかなって思うんです。『どんな人間になりたいんだろう』『どんな生き方をしたいんだろう』ということをゆっくりじっくり仲間と一緒に考えることが、実は遠回りに見えてあらゆる壁を乗り越えていける大切な力になると思います」
白神さん自身もどう生きるのかを考えてきたことが、夢を見つけて、実現する力になってきました。「宮沢賢治の言葉で『世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない』というのがあります。やっぱり私の幸せっていうのは世の中の人たちみんなの幸せと切り離せないと思うんです。だから、自分の幸せと周りの幸せを結び付けた生き方をしたいなと思って、それが私の中では憲法を生かすことだった」と白神さん。
「どんな生き方をしたいのかと考えたときに『みんなが幸せになることが私は幸せだ。私だったらどんな仕事をすることで身に付けられるのかな、実現できるのかな』という基準を持ってくれたらうれしいです」