試し読み-教育に予算を(3月7日付)

学費値上げ撤回奨学金拡充 教育に予算を

政府は今、国立大学の収入の中心を占める運営費交付金を毎年カットし、大学を学費の大幅な値上げに追い込む方針を進めようとしています。世界でも異常な日本の高学費がさらに値上げされかねないやり方に不安や怒りの声が上がっています。

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下図を見て「もっと教育に予算を割いてくれていいと思う」と話す大学2年(2月24日、渋谷)

 

青年の思いに背く方針
「専門学校を受かったけど、学費が払えなくて進学をあきらめた友人がいる。国が教育費を出してほしい」(20歳、女性)―。渋谷の街頭の青年からは、教育予算の拡充を求める声が出されました。
財政制度等審議会(財政審、財務大臣の諮問機関)が昨年11月、麻生太郎財務相に提出した「平成二八年度予算の編成等に関する建議」、は国立大学が「今よりも国費に頼らずに自らの収益で経営する力を強化していくことが必要である」とし、国立大学に対して自らの収益(自己収入)を増やすよう求めています。大学の主な自己収入は学生から集める学費(授業料等収入)です。財務省は昨年10月、財政審で「運営費交付金を毎年1%減少させ、自己収入を毎年1・6%増加させることが必要」と提案しました。自己収入分を全て授業料で賄うと、現在53万円の授業料が15年間で最大40万円増加し、93万円になる計算です。
これに対して、全国36の国立大学の学長や経営協議会学外委員などから大きな批判の声が上がり、16年度の運営費交付金の総額は予算案では前年度と同額に据え置きになりました。
しかし、2月10日、衆院予算委員会で17年度以降の運営費交付金の削減について質問した日本共産党の畑野君枝議員に対し、麻生財務相は「運営費交付金を適正化して再配分するルールの導入と合わせて、自主財源の目標を設定して、経営力の強化と自立性の確保を向上させる」と答弁。運営費交付金削減の方針は変わらず、削減する新たなしくみが導入されることが明らかになりました。これでは教育水準を下げるか、学費を値上げするしかありません。

 

給付制奨学金が必要
今、高学費と生活費に追われ、学生の2人に1人が奨学金を借りています。利用額は平均300万円で、500万~700万円を借りる学生も少なくありません。大学・大学院修了時に日本学生支援機構の奨学金借り入れ総額が500万円以上となった貸与者の人数は、7431人(10年度)から2万2341人(14年度)と急増しています。不安定雇用と低収入が広がる中、奨学金は返済を1日でも滞納すれば厳しく取り立てられる「教育ローン」と化しています。「奨学金だけでは足りない」などの理由でアルバイトに追い立てられる学生が増え、ブラックバイトの問題も深刻化しています。
1月21日の参院決算委員会で日本共産党の田村智子議員は、月12万円の奨学金を借りてアルバイトをしても大学を中退せざるを得なかった学生の実態などを示し、学生を追い詰めてきた歴代政権の責任を追及。奨学金制度の充実をうったえました。答弁に立った安倍首相らは「拡充にとりくんでいる」などとくり返すだけで、給付制奨学金については最後まで検討を開始するとさえ明言しませんでした。
街の青年からは「アルバイトをして自分で学費を払っている友人がいる。給付制の奨学金があったらいいと思う」(大学4年)などの声が出されました。奨学金の無利子化や返済免除制度、給付制奨学金制度の創設が求められています。

 

先進国並みの予算を
運営費交付金は国立大学の法人化以降、12年間で12%、1470億円も削減されてきました。一方で公共事業関係費を5兆7800億円(12年度決算)から7兆3千億円(14年度決算)に増額し、防衛関連費が初めて5兆円を超える(14年度決算)などの実態があります。教育に対する国の責任を放棄する政府の姿勢は、国民に「ひとしく教育を受ける権利」を保障した憲法26条だけでなく、高校・大学までの段階的な無償化を定めた国際人権規約社会権規約(13条2項b、c)をも踏みにじるものです。
日本の高等教育へのGDP(国内総生産)比での公的支出は、先進国の平均が1%(08年)から1・2%(12年)に上がる中、0・5%のままです。下図で③に分類される3カ国のうち、韓国は08年に給付制奨学金を生活保護受給者から始め、低・中所得層へと対象を広げています。チリは法人税増税を財源に低所得層の授業料の無償化を今年から実施します。3面図アウト
街の青年からは「若い人がこれからの社会を担うことになる。もっと若い人に目を向けてほしい」(高校3年、女性)「もっと教育に予算をかけてほしい」(大学2年)などの声が出されました。高等教育の予算を拡充し、学費を下げることを求める声を上げていきましょう。