止めるまで声上げ続ける 国民無視の戦争法施行

3月29日午前0時、日本が戦後初めて海外で「殺し殺される」道を開く安保法制(戦争法)が多くの国民の反対を押し切り施行されました。28、29日には青年や市民が国会正門前をはじめ全国各地で同法の発動を許さず廃止を求めて抗議行動を行いました。29日の国会前には3万7千人が集結。参加した青年に思いを聞きました。(文中は一部仮名)

シールズと学者の会の抗議行動(3月29日、国会正門前)

シールズと学者の会の抗議行動(3月29日、国会正門前)

 

施行されても許さない
29日、国会正門前では「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」、SEALDs(シールズ=自由と民主主義のための学生緊急行動)、「安全保障関連法に反対する学者の会」などが抗議行動を行いました。シールズと学者の会の行動でスピーチしたシールズの奥田愛基さん(大学院生)は、「安保法制が強行されたときのことをまだまだ忘れていない。安保法制を廃止する。憲法を守りたい」とうったえ、「みんなの暮らしに税金使え」「戦争反対」とコールを響かせました。
安倍政権は昨年9月、国会前や全国での連日の抗議行動を無視し、憲法の平和主義と国民が権力者を憲法で縛るという立憲主義の原則を壊して戦争法を強行成立させました。その後も国民の批判や不安の高まりを顧みずに施行しました。
29日、国会前で取材に応じたシングルマザーの女性(31)は「施行されたけど、どうしても許せなかった。私たちの未来に関わることで、大事に育てている子どもを戦争に出すわけにはいかない」と語気を強めます。静岡から参加した小川大輔さん(大学1年)は「強行成立の時はテレビで見ることしかできなくて悔しかった」と話します。大学受験で訪れた京都で、街頭宣伝で戦争法廃止をうったえる青年を見て刺激を受けた小川さん。「今年の選挙が初めての投票。抗議行動に参加し続け政治に物を言える大人になりたい」と言います。

迫る現実の危険
日本には、戦争を放棄し、戦力の不保持を定めた憲法9条があります。自衛隊は1954年の創設以来、一人の戦死者も出さず、一人の外国人も殺していません。戦争法の施行ははそうした戦後日本の在り方を根本から変え、いつでも、どこでも米国の戦争に参加するしくみにします。
歴代政府は、日本が直接武力行使を受けなくても同盟国の戦争に参加できる集団的自衛権の行使を違憲としてきましたが、戦争法では時の政権が「存立危機事態」と判断すれば海外での武力行使が可能です。
地球規模で米軍への輸送や補給などの支援(兵たん)もできるようになり、歴代政府が禁じた「戦闘地域」での活動も可能となります。兵たんは敵から狙われやすく、自衛隊が攻撃されれば憲法が禁じる戦闘になりかねません。

戦争法廃止をうったえ国会前に集まった人々。マイクを握るのは日本共産党の山下芳生書記局長(3月29日、国会正門前)

戦争法廃止をうったえ国会前に集まった人々。マイクを握るのは日本共産党の山下芳生書記局長(3月29日、国会正門前)

自衛隊が「殺し、殺される」現実の危険も迫っています。国連平和維持活動(PKO)などの任務では▼他国部隊などが攻撃されたときの「駆け付け警護」▼「住民保護」などを目的にした警備や巡回といった「治安維持」―が新たに加わり、その任務遂行のための武器使用を認めました。 安倍首相は、南スーダンのPKOに派遣している自衛隊への新たな任務の付与の検討を認め、自衛隊と現地の武装勢力との交戦の危険性が高まっています。
29日の抗議行動に参加した男性(大学3年)は「南スーダンは内戦状態で不安しかない。大学の友だちの中には日米同盟や戦争法を知らない人も多いけど、知れば『反対』となる。危険性を広げたい」と話します。

一人ひとりが大事にされる政治を
国会正門前の抗議行動では、「戦後初めて自衛隊が海外で殺し殺される道に踏み込もうしている。断じて許せない」(日本共産党の山下芳生書記局長)「立憲主義、民主主義を守るために最大限のことをする」(民進党の枝野幸男幹事長)など4野党が連帯のあいさつ。日本共産党など野党5党は2月17日に戦争法廃止法案を提出し、8月の参院選に向けて「安保法制廃止、集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回」を一致点に共闘を進めています。 この状況をつくったのは市民の運動です。29日、取材に応じたシールズ琉球の元山仁士郎さん(大学4年)は5野党の共闘について「昨年の夏には考えられなかった。野党を支え後押しする人をもっと増やしたい」と話します。
基本的人権の尊重など憲法全体が戦争法の発動に制約を掛けている下、安倍政権は今年に入り、基本的人権を抑圧する「緊急事態条項」の創設など明文改憲をくり返し主張。一方で戦争法の具体化を遅らせるなど、安倍政権は戦争法の参院選での争点化を恐れていますが、戦争法廃止か改憲かという選挙での争点化は避けられません。28日の抗議行動のスピーチでシールズの諏訪原健さん(大学院生)は、戦争法下で自衛隊員の命が奪われる危険や奨学金に苦しむ自身の実態などに触れ、「誰かを犠牲にしないと成り立たない社会はおかしい」「一人ひとりの命や生活が大事にされる、そんな政治にかじを切ろう」とうったえると歓声が起きました。
「自分も4年間で400万円を超える有利子奨学金を借りる」と話す小川さん。「僕らが自分の願いを掲げて声を一つにしていけば、未来はもっと進む。安保法制を廃止して、教育予算を増やして、給付制奨学金もつくる。そんな政権を参院選挙でつくりたい」