戦争には行かない! 主権者は私たち 全国高校生平和集会2016

昨年の「若者憲法集会」の高校生分科会に参加した高校生で結成された「平和な未来をつむぐ高校生の会」。同会は3月27日、「全国高校生平和集会・高校生デモ@渋谷」を開催し、集会に135人、デモに300人(主催者発表)が全国から参加しました。当日の様子と参加者の感想を紹介します。(文中は一部仮名、鈴木通子記者)

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集会後に行った「高校生デモ@渋谷」の様子

日本でも「経済的徴兵制」に?
集会の午前中には、「ブラックバイトから考える高校生の権利」「身の回りにあるいじめ・差別」「高校生と学費~経済的徴兵制を考える~」の3つの分科会が行われました。
「ブラックバイト」の分科会では、首都圏青年ユニオン委員長の神部紅さんと、首都圏高校生ユニオン組合員のじょーさん(2年)がクイズを出題し、アルバイトをするときの注意点を学び合いました。
「いじめ・差別」の分科会では、大東文化大学教職課程センター准教授で元中学校教諭の渡辺雅之さんを講師に、学校で起こるいじめについて分散討論を行いました。渡辺さんは「今の社会の中でその人が尊重されているかを考えることが大切。いじめをしなくてもいい関係性を築くことが大事」と話しました。
「経済的徴兵制」の分科会では、「平和新聞」編集長の布施祐仁さんが講演を行いました。
布施さんは、大学の学費の上昇などで奨学金利用者や返済を延滞する人が増加していると指摘。文部科学省の「学生への経済的支援の在り方に関する検討会」では、延滞の問題に対し、自衛隊などへのインターンシップ制度の導入の検討が行われているといいます。
防衛省では少子化や戦争法の施行などにより自衛隊への志願者が減ると考    ており、人員を集めるためにさまざまな策を練っています。布施さんは隊員確保についてアメリカを例に挙げて説明しました。ベトナム戦争後、米軍では志願者数が減った時期があり、入隊すれば大学の授業料などを無償にする制度を導入。入隊し戦場に送られた帰還兵は、軍を辞めた後もPTSD(心的外傷後ストレス障害)など心に負った傷のせいで、日常生活もままならず、大学に行っても初年度に8割が大学を辞め、ほとんどが卒業できないといいます。布施さんは「日本でも同じようなことが起こり始めている」と指摘します。布施さんが取材した自衛隊員は「大学に入りたいが奨学金は借金になるからお金をためるために自衛隊に入った」といいます。布施さんは「自衛隊を海外に送らないために戦争法を廃止すること。貧困・格差をなくすためにも給付制の奨学金制度を創設することが求められている」と話しました。
「お金がなくて自衛隊に行くっていうのがこれ以上増えるのが嫌だ」と話すのは和歌山のしむえさん(3年)。「どうしたら今よりも国が教育にお金をかけるような社会にしていけるのか考えていきたい」と話します。

平和憲法で国際貢献を
午後の全体会では日本国際ボランティアセンター(JVC)代表理事の谷山博史さんが、講演を行いました。
海外で12年間活動していた谷山さん。アフガニスタンやイラクなどの紛争地域で医療活動や平和ワークショップなどの人道支援活動を行ってきました。講演では支援の様子や破壊された町などの紛争地域の写真をスライドで流しました。

谷山さんが行ってきた支援をスライドで紹介

谷山さんが行ってきた支援をスライドで紹介

2005年に紛争が続く中東のパレスチナのガザ地区で活動した谷山さん。イスラエルは14年のガザ戦争で「対テロ戦争」を口実に激しい空爆と地上侵攻を行いました。2100人以上が犠牲になり、半数が民間人でほとんどが子どもだったといいます。谷山さんは「逃げ場がない所に殺しに行く。これは殺戮だが、『対テロ』と言ったら何でもできてしまう」と指摘します。
01年から始まったアフガニスタン戦争では、米軍による空爆が長年続く中で、米軍は誤爆をくり返していました。村一つを壊滅させ、「テロリストがいる」という理由で結婚式の場に空爆を行うなど紛争地域で起きている現実を告発した谷山さん。
その中でテロ組織の勢力が国際的に増していきました。「戦争は泥沼化し、『テロ』の温床が広がりさらに過激な勢力が入っていく隙をつくっていった」と言います。谷山さんは「正規軍同士が戦うのではなく、住民の中で戦われるのが今の戦争。一般の住民の中に反政府軍が紛れ込んでいき、それに対し外国軍が入り殲滅しようとしている。だから戦争が長引く」と話しました。
アフガニスタン戦争ではほとんどの先進国が本土に軍隊を派兵し戦争の当事者となる中で、日本だけが派兵をしていなかったため日本からの民生支援は軍事的な思惑ではないと信頼されていたといいます。戦争法が施行され「殺し殺される」現実の危険が迫っている中で谷山さんは、「和平交渉の仲介は平和憲法がある日本が一番できる立場。日本がするべきは紛争の際の和平の仲介」と指摘します。埼玉から参加したみきてぃーさん(2年)は、「戦争しないと決めた日本が人道支援することはすごく信頼されると思った」と言います。「日本だけが平和になるんじゃなくて、戦争法に反対して廃止することで世界の平和にもつながるんだなと思った」と話します。
全体会の最後には、京都の「スクール・オブ・デモクラシー」、石川や群馬、「T-nsSOWL WEST」からの発言で活動交流も行われました。

自分の地元でも
集会後に行われたデモでは、サウンドカーの音楽に合わせて「憲法守れ」「言うこと聞かせる番だ俺たちが」「安保法制絶対反対」「選挙に行こうよ」などとコール。スピーチに立った愛媛のともかずさん(2年)は政治活動の届出制について「届出制は憲法違反。政治がおかしな方向に向かっている時だからこそ声を上げなければ」と話しました。

全国の高校生で声を上げ盛り上がったデモ

全国の高校生で声を上げ盛り上がったデモ

奈良から参加したみーちゃんさん(2年)はスピーチをしている高校生を見て「同じ高校生に思えないほど、自分の意見をまとめてばんばん言っているのがかっこ良かった」と言います。「自分も意見を言えるようになりたい。自分の言葉で『戦争法反対』『安倍政権NO』を伝えられるようになりたい」と話します。
「地元でも今日のようなデモをしていきたい」と話すのは、群馬のにゃん太郎さん(2年)。「『すごかったよ』と地元の友だちに話したいし、今日のようなかっこいいデモだったらもっと参加しやすくなると思う」と言います。「政治に関心を持てていない人に考えるきっかけになってほしい」とにゃん太郎さん。東京の本田由紀子さん(17)は街頭で「2000万人統一署名」に協力したことをきっかけにこの集会に誘われ初めて参加しました。本田さんは「戦争法が通って絶望していたけど、同じ年の子が活動してると知ってびっくりした。自分も行動していきたいと思った」と話します。