「2016年熊本地震」 被災者の救助・救援に全力を

4月14日夜と16日未明、熊本県を震源とする震度7の激しい揺れが九州地方を襲いました。家屋の倒壊や大規模な土砂崩れが起こり、死傷者・行方不明者が多数出ています。23日現在も余震の終息の見通しは立っておらず、6万人超が避難生活を余儀なくされています。被災地から話を聞きました。

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震度7を観測した熊本県阿蘇市内の全壊した家屋(日本共産党の島田けい子京都府議提供)

 

日常の風景が一変
4月14日午後9時26分、熊本県益城町などで震度7、地震の規模を示すマグニチュード(M)6・5の揺れが起きました。「ドーンという地響きの後、一瞬何が起きたのか分からなかった」と熊本市内にいた民青熊本県委員長の高本征尚さんは当時の様子を話します。高本さんがいた部屋は本棚が倒れるなどしましたがけがはなく、「すぐに家族の無事が確認できて安心した」と言います。
16日午前1時25分には、同地域でより大きなM7・3、震度7の地震が発生。熊本市内の自宅にいた高本さんと高本さんの家族は、着の身着のままで近所の人と近くの公園に避難しました。街灯が全て消え真っ暗な中、「余震のたびに覆いかぶさるように子どもをかばった」と高本さん。「怖さよりも『家族を守らないと』という気持ちが強かった」と言います。翌朝、食料などを家に取りに戻る途中には倒れたブロック塀や傾く家々が。「ガラッと世界が変わってしまった」
損壊した建物の多くは16日の揺れが影響したといいます。震度7の揺れが同じ地域で立て続けに2回観測されたのは史上初めて。気象庁は、16日の地震を一連の地震の「本震」とし、14日の地震を本震に先立つ「前震」としました。本震は1995年の阪神・淡路大震災(M7・3)級で、熊本県南阿蘇村では山の斜面が大きく崩れ、橋が崩落するなどしました。14日以降、震度1以上の地震は830回を超え(23日時点)、M3・5以上では新潟県中越地震(2004年)を上回り過去最多です。
23日現在、熊本県内で地震による直接の死者は48人、行方不明者2人、負傷者1362人。建物の被害は1万件超となり、断水は約4万2200戸です。大分県では由布市湯布院町で850件以上の建物被害が確認されています。「余震が続くのがきつい」と高本さん。現在も家の近くの高校に避難しており、「次に大きな揺れがいつ来るのかと緊張を解けない。トラウマになっている避難者もいる」と話します。

かつてない震源の拡大
本震と前震はいずれも、地下の岩盤が最近数十万年にくり返し動いてできる活断層で起こりました。震源の浅い直下型だったため地震波が弱まることなく地表に到達し、激しい揺れを起こしました。震源はどちらも熊本市周辺で、熊本県を東西に横切る布田川断層帯・日奈久断層帯でした。本震後、地震活動は熊本市周辺から北東側の熊本県阿蘇地方や大分県中部に拡大(右下図)。この3地域は多数の活断層が走る「別府―島原地溝帯」に含まれ、九州地方の岩盤を東西に圧縮し南北に引っ張る力をかけています。気象庁は「ひとたび断層がずれると、その延長線の地盤に力がかかりやすい。3地域の地震は互いに影響している」と分析。専門家の中には活断層の南西部でまだひずみが残り、震源域が広がるとの見方もあります。地図
活断層の南西部の先には全国で唯一稼働中の九州電力川内原発があります。高本さんは地震による原発への影響を懸念します。「地震発生の時、妻の第一声は『原発を止めて』だった」と高本さん。「新幹線や高速道路が通れない今、まともに避難はできない。余震に耐えるだけでも精いっぱいな状況。安倍政権は原発をすぐに止めてほしい」
一人ひとりに 寄り添った支援を
23日時点で、熊本の避難者は6万7136人に上ります。大雨による二次災害の恐れもある中、被災者は不自由な避難生活を余儀なくされています。余震を恐れ車中泊をしている人もいます。長時間足を動かさず同じ姿勢でいることでなる「エコノミークラス症候群」で亡くなるなど「震災関連死」は熊本で12人(23日現在)に上り、緊急な対策が必要です。
日本共産党は21日、「震災関連死」の防止に向け、▼医療態勢を強め、被災者の健康管理に万全を期す▼熊本県内外に安心して体を伸ばせる避難所を確保する―などの緊急対策を発表。「体を伸ばしたいというのは被災者みんなの要求だと思う」と話す高本さんは現在、市内の避難所を回り被災者の要望の聞き取りや必要物資の運搬を行っています。「みんな疲労が限界に近い」と高本さん。「一つひとつの避難所で必要な物が異なる。しっかりと話を聞き、細やかな対応をしたい」と話します。
震災ボランティアも始まっています。同盟員で、日本共産党の参院選・福岡選挙区予定候補のしばた雅子さん(31)は18日、おにぎりや飲料水などを南阿蘇村の避難所などに届け、避難所で「今日やっとお風呂に入れる」「これからの生活どうすればいいか」など切実な声を聞きました。「継続的に支援していきたい。政治は党派を超えて全力で当たらないといけない」と話します。
本州から四国、九州にかけての最長断層帯「中央構造線」をはじめ、日本には約2千の活断層が確認されています。今後、他地域での地震活動の活発化も懸念されています。防災・震災に対し一人ひとりの命と暮らしを守る政治の確立が早急に求められます。