舛添都知事辞職 くりかえす「政治とカネ」

6月21日、豪華海外出張や政治資金の公私混同疑惑など、「政治とカネ」をめぐる問題で東京都の舛添要一知事が辞職しました。2代続けて「政治とカネ」の問題で任期途中に都知事が辞める前代未聞の事態で疑惑解明が求められています。問題の背景を考えます。

3面

「政治資金規正法を厳しくして、不正や疑いが出ないようにすべき」と話す女性(6月17日、渋谷)

税金浪費へ怒り広がる
問題の発端となったのは4月7日、日本共産党都議団が公表した舛添氏の高額海外出張の実態です。2年余の在任中、合計9回の海外出張の費用総額は2億4718万円余、1回当たり2746万円にも上ります。改善提案を知事に申し入れた清水ひで子都議は、費用が高い理由として①15年のパリ・ロンドン出張では豪華スイートルームの宿泊料が1泊19万円余となり条例で定められた上限の4・9倍。ほとんどの出張で上限額を超える②随行員を多数同行させ、随行員の航空費・ホテル代も高額―と指摘しています。
その後週刊誌などの報道で、公務での使用に限られる公用車を使い毎週のように神奈川県湯河原町の別荘に通っていたことも明らかになりました。
舛添氏は当初、定例会見で高額出張費の問題を問われ、「トップが二流のビジネスホテルに泊まりますか。恥ずかしいでしょう」と答えるなど不誠実な対応をくり返していましたが、批判の高まりを受け、別荘への行き来に公用車を使用しないことや海外出張でファーストクラス、スイートルームを利用しないことを表明しました。渋谷で取材に応じた青年からは、「一般の私たちとは感覚がかけ離れている。やり過ぎだと思う」(33歳、女性)「二流でもいい。そこに金を使わないで街のために使ってほしい」(大学1年、男性)と税金の浪費への怒りの声が寄せられました。

疑惑の徹底解明を
週刊誌で報道された、都知事に就任する以前の政治資金の不正支出疑惑も重大な問題です。家族の旅行費用・飲食費、外国旅行で購入した衣類・民芸品、漫画や小説などの書籍、絵画や額縁などの購入費まで、舛添氏の政治団体から支出していたことや、その政治団体の資金の原資は大半が、国民の税金から山分けされる政党助成金であったことが指摘されています。渋谷で取材に応えた女性(大学1年)は、「政治のためじゃなくて、自分や家族のためというのはおかしい」と話します。
舛添氏が6月6日に開いた記者会見では「第三者」の弁護士が「調査結果」を公表。多くの支出について「不適切」と判断されたものの、政治資金規正法などには支出内容に関する規定がないため「違法とは言えない」という結論でした。前出の女性は「国民には増税といいながら、使い方がおかしい。国民の税金を使っているから厳しくすべき」と語気を強めます。
「調査結果」について都議会で焦点になったのは2013、14年の正月に「龍宮城スパホテル三日月」(千葉県木更津市)に家族4人の旅行で宿泊した費用を「会議費用」として政治資金で支出していた問題です。当初舛添氏は記者会見で「事務所関係者ら」とホテルの部屋で「会議」を開いたと説明していました。しかし弁護士の「調査結果」では「会社社長」との「面談」に変更。「調査」では宿泊したホテルや会社社長からの聞き取りもせずに「違法ではない」と結論付けましたが、舛添氏の説明が作り話である場合は、政治資金規正法に違反し処罰の対象になり得ます。
6月15日の都議会本会議では、日本共産党都議団らが疑惑の全容解明のため、虚偽の証言の場合は罰則もある百条委員会の設置を求める動議を提出。しかし自民・公明と民進系の2会派の反対で否決されました。真相解明に背を向ける責任が問われます。

根本に政治歪める政党助成金
海外出費用図版 一連の「政治とカネ」の問題を受け、都民の怒りが広がり、都には3万件を超える抗議・意見が寄せられました。日本共産党をはじめ全会派からの不信任案が提出された15日、舛添氏は辞職願を提出。21日付で辞職しました。裏金受領問題で辞職した猪瀬直樹前知事に続き、2代続けて「政治とカネ」の問題で都知事が任期途中で辞職する前代未聞の事態となりました。自民党や公明党は舛添氏を知事に担ぎ出し、全面支援した責任が厳しく問われています。渋谷で取材に応じた青年からは「『またか』と思った。それくらいいっぱい問題が起きている」(大学2年、女性)という声が寄せられました。
「政治とカネ」の問題の背景には、政党助成金の制度があります。政党助成制度は年間約320億円もの税金が、自分の支持していない政党にも強制的に分配される献金制度であり、憲法の思想・良心の自由を踏みにじるものです。導入後21年がたち6631億円もの巨額の税金が山分けされ続けており、収入の6、7割を助成金に頼る政党がほとんどです。本質的に政治を買収する賄賂である財界・大企業からの企業献金を廃止するためにと導入された政党助成金ですが、政党支部への献金という抜け穴を利用し二重取りのしくみになっています。「税金頼み」の姿勢や企業献金によって、本来は国民の支持と共感に依拠して行うべき政党の財政活動が国民から離れたところで完結し、政党の在り方をゆがめています。今回舛添氏が強く批判された公私混同の問題と同じように、安倍政権の閣僚も政党助成金を原資とした政治資金での高級料理店の飲み食いなどが指摘されています。政治を堕落させる政党助成金や企業献金の廃止が求められています。