核兵器廃絶に向け被爆者の願い受け継ぐ 原水爆禁止2016年世界大会・広島

4~6日に開かれた原水爆禁止2016年世界大会・広島。全国から参加した青年が、被爆の実相を学び仲間と活動交流する中で「被爆者の平和への思いを引き継ぎたい」と決意を新たにしました。今年、被爆者が核兵器廃絶を求める国際署名を呼びかけました。被爆者の思いを受け継いだ青年が、各地で行動に踏み出しています。(文中は一部仮名、増田哲明記者)

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フィナーレで、ステージに上がり手話を交えながら「おりづる」を歌う参加者(6日、閉会総会)

被爆者の話聞きたくて
被爆者の平均年齢が80歳を超え、青年が「被爆体験を直接聞ける最後の世代」と言われる中、大会を通じて青年が被爆者の声に耳を傾けました。
5日に行われた分科会「青年のひろば」ではグループに分かれ、被爆者が被爆体験や核廃絶運動について青年に語りました。長崎で被爆した熊本の井上保さんは、参加した青年ら約20人を前に自らの体験を話しました。井上さんは14歳の時、熊本から長崎に学徒動員させられました。原爆が落ちた時は、長崎湾海上の櫓こぎ船の中にいたといいます。「原爆が落ちた時どんな気持ちだったか」という参加者の質問に、井上さんは「光の方が早かった。その後に風がぶわんと来て、船が40度くらい傾いてしまった。積み荷が落ちないようにみんなで引っ張って、どんな気持ちかも分からなかった。船をこぐ人の背中が真っ赤になったのを覚えている」と話しました。
井上さんは、被爆者が「あの爆弾が落ちたところの娘は嫁にもらうな」などと言われ差別を受けたことや、全国の被爆者が国に原爆症の認定を求めて起こした集団訴訟に参加した経験を話しました。
グループトークでは、参加者から「悲惨さを知って、核兵器や戦争をなくす大切さを感じた」「地元に戻っても、核兵器廃絶の思いを受け継いで活動していきたい」などの思いを出し合いました。青年らの話を聞き「皆さんの核兵器反対の気持ちがよく分かった。うれしかった」と井上さん。「今日は話して良かった」と涙ながらに語りました。
井上さんの話を聞いた東京の男性(大学2年)は「これから聞けなくなる被爆体験を聞くために」と世界大会に参加しました。「これまでも関心があったけど、全然知らなかった。周りにも伝えていかないといけない」と話します。

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「Ring!Link!Zero in Hiroshima」の活動交流では積極的なフロア発言が相次いだ(4日)

当時に思いはせた
「青年のひろば」では今年、被爆者が高齢化し不在となる現実を前に、被爆体験を語り継ぐ方法を模索し「碑巡り」と「追体験」の企画が行われました。
「碑巡り」で参加者は、青年のガイドで平和記念公園内の記念碑などを回りました。「追体験」では参加者が少人数のグループに分かれ、平和記念公園内で被爆体験のレポートや体験集を読み合わせし、当時に思いをはせました。「碑巡り」に参加した女性(大学4年)は「韓国人原爆犠牲者慰霊碑が心に残った。強制連行などで日本に連れて来られて被爆して、日本が残酷なことをしてきたと事実を突き付けられた」と話します。「追体験」の参加者からは「被爆された方々がどのような苦しみ、痛みを背負わされどのように生き残ったのか、大切な人たちと引き裂かれた時どんな状況だったのかを考えた。生々しい体験談・証言を読み合わせたことで、あらためて広島と長崎の悲劇を二度とくり返してはいけないと強く感じた」などの感想が出されました。

世界の仲間に励まされた
世界大会では、各地の青年の活動が交流されました。4日夜に行われた関連企画「Ring!Link!Zero in Hiroshima~私たちにできること―被爆者の思いを受け継いで~」では青年のリレートーク後、海外からの青年代表も交えてどう被爆者の思いを受け継ぐか意見交流が行われました。
国民平和大行進に参加したフィリピンのメアリー・テレサ・ノーブさんは「くじけそうになってもあきらめないで積み重ねることが大事。活動を続けることで政治指導者に大きなインパクトを与えることができる」と参加者を励ましました。同じくフィリピンのヴォルティモア・フェニスさんは、自身がとりくんだ署名運動について触れ「一般の人を運動に巻き込むのが大事」と話しました。「(被爆者の)重荷を取り除くためにがんばる必要がある」とうったえました。
香川の秋山時貞さんは民青県委員会として「戦争法の廃止を求める2000万人統一署名」にとりくみ、目標の1500筆を達成した経験について発言。戦争法が強行採決された時のことを「安倍政権が日本の平和を一瞬で壊しそうで怖かった」とふり返り、「『これが国民の声だ』とぶつけてやりたい」との思いで署名集めにとりくんだといいます。昨年の世界大会に参加して「二度と被爆体験をくり返してはならない」と感じたという秋山さん。参加者に向けて「今日から、ここからみんなの思いを集めていこう」と呼びかけました。
参加した青年からは「海外の青年の話を聞いて同じような活動の悩みを持っていて、それを乗り越えて社会を動かした経験があると知って励まされた」「私も署名運動に加わろうと思った」などの感想が寄せられました。
広島の木村良明さん(大学1年)は「自分と年が変わらないのに『どうしたら世界が変わるか』と考えて行動しているのを見て、すごいと思った」と言います。「自分も行動したい。学校の友だちにも声をかけてみたい」

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