冗談交わすだけで捜査!? 「共謀罪」の国会提出許すな

友人や家族と気持ちや考えを交わし関係性を育む日々の会話。そんな意思疎通も警察の捜査の対象となる「共謀罪」の成立を安倍政権が狙っています。過去3度、人権侵害との国民の批判で廃案となりながら来年の国会提出がたくらまれる「共謀罪」の危険性について、街頭で青年と考えました。

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▲「あいまいな基準で警察が勝手に私生活を監視するのはおかしい」と話す 女性(大学3年、9月15日、渋谷)

話し合いが罪に
安倍政権が立法化を狙っている共謀罪は、複数の人が犯罪を行うことを話し合って合意(共謀)しただけで罪に問えるようにするものです。実際に犯罪が行われなくても「犯罪を共謀した」というだけで処罰できることに問題の核心があります。日本国憲法をはじめ近代の刑罰法では、犯罪行為が実際に行われた場合だけを罰する対象としています。実際に犯罪を行うかどうか分からない会話などまで対象とすると、考えや価値観を処罰する危険性があり、憲法が保障する「思想・信条の自由」を侵す恐れがあります。渋谷の街頭では「憲法のルールに反している」「思想まで処罰するのはおかしい」など次々に批判が出されました。
これまで政府は小泉政権の下で2003年、04年、05年と「共謀罪」を盛り込んだ組織犯罪処罰法の改定案を国会に提出。法案は共謀罪の適用対象を「団体」とし、①団体の活動として②共謀する―という要件で共謀罪と見なしました。飲み屋でうっぷん晴らしに上司を指して「あいつを懲らしめてやれ」「そうだ、そうだ」という会話が共謀罪にされてしまうとの指摘や、市民団体や労働組合も処罰の対象になるとの批判が上がり、いずれも廃案となってきました。
安倍政権は「共謀罪」を「テロ等組織犯罪準備罪」と名前を変えて来年の通常国会に提出しようとしています。「団体」を「組織的犯罪集団」に変え、要件については①組織的犯罪集団の活動として②具体的・現実的な計画を立て③実行の準備行為を行う―と従来の法案から変更しました。しかし組織的犯罪集団の内実は「2人以上で計画した」グループで、一般の市民団体やNPO団体、労働組合などが対象とされる危険性は消えていません。また、「準備行為」は定義があいまいで警察など捜査当局が勝手に判断する恐れは残っています。
渋谷の街頭で取材に応じた男性(大学1年)は「警察は事件が起きた後に動くというのが当たり前の感覚。警察が勝手に判断するのも良くない。そんなのは警察の仕事じゃない」と語気を強めます。

広く市民が「犯罪者」に
3%e9%9d%a2%e3%82%b0%e3%83%a9%e3%83%95共謀罪は広く市民が「犯罪者」と見なされ得ることも大きな問題です。新旧の法案共に、共謀罪が適用されるのは「4年以上の懲役・禁錮の刑が定められている犯罪」です。万引きや無賃乗車、道路交通法違反や公職選挙法違反などが含まれ、対象は600を超えます。法律の制定後に範囲が拡大される可能性もあります。また、集団の一人が犯罪の準備をしたといい、犯罪をする意思のない人まで警察が「同意した」とする恐れもあります。渋谷の女性(大学3年)は「会話だけで犯罪をした人と『一緒』と思われるのは嫌だし、捜査されるのは気持ち悪い」と話します。
自由法曹団で共謀罪の問題にとりくむの西田穣弁護士は共謀罪が「市民を選挙から遠ざけることになる」と危惧します。日本の公職選挙法が戸別訪問の禁止など世界でも「極めて不自由な法律」とした上で、立候補者や選挙責任者らが不正に投票を得るような行為をした場合、懲役4年以下の犯罪となり共謀罪に該当すると西田さん。「選挙に勝つためにどう票を集めるか協議をすれば、共謀罪はその協議を罪と見なし、政党や団体への強制捜査や市民への不当逮捕を可能にする」と指摘し、今年4月に強行された盗聴法の改悪と合わせて「警察の盗聴や盗撮を正当化し、人権侵害を強めることになる」と批判します。
先の参院選では、大分県警が野党統一候補の支援拠点が置かれた建物敷地に無断でビデオカメラを設置し、建物に出入りする人たちを盗撮していたことが発覚。県警は9月20日、日本共産党の堤栄三県議の追及を受け、他の選挙でもビデオカメラを使っていたことを認めました。常習的に県民の政治活動を侵害してきたことは到底許されず、県民からは批判の声が上がっています。

物言えない社会にさせない
安倍政権は「共謀罪」の名目を「テロ対策」といいます。しかし日本にはすでに重大犯罪に限って例外的に陰謀罪が8、共謀罪が15、予備罪が40、準備罪が9も制定されており、テロ防止に必要な銃器の規制は銃砲刀剣類所持等取締法で厳しく制限されています。安倍政権はこれまでも秘密保護法、盗聴法の拡大など人権抑圧の悪法を次々と強行し「海外で戦争できる国」を目指しています。人と人の意思疎通すら犯罪とする「共謀罪」は物が言えない社会を現実にする危険があり、廃案は当然です。
渋谷の男性(大学2年)は「個人も政治も自由に意見が言えるから発展や進歩があると思う。批判一つできない社会にしたくない。テロ対策には今ある法律で十分だと思うし、テロをなくすために違う方法でとりくんでほしい」と話します。共謀罪の市民弾圧の狙いを伝え、次期国会でも提出させない世論を広げることが求められています。