自分を豊かにする読書の時間

読書の秋。気候も穏やかになり過ごしやすい季節がやってきました。生き方に影響を与えたといえる読書体験はありますか?「自分にとっての読書体験」を聞きながら、感じている読書の魅力、どんな本を読んでいるのか読書について考えます。  (高校生は仮名)

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~どうやって本を選んでいる?~
・前情報を持たずに、背表紙や題名を見て、一目ぼれした本を買っている。外れたことはない。(史和さん)
・インターネットで、好きなワードで検索して評価の高いものを読む。どんでん返しのあるものが好き。(ちささん)
・はやっているものや、勧められた本は避けていたけど、読んだらとてもいい本だったことがある。(由紀さん)

読書の魅力
「わくわくしたいので読む」(2年、男性)「悩んでるときに読む。自分の悩みが軽く感じられる気がする」(中学3年、女性)―。新宿に取材に応えた高校生からはさまざまな「読書の魅力」が語られました。
部活の行き返りに読書をするというちささん(3年)は自分に影響を与えた本として『葉桜の季節に君を想うということ』(歌野晶午)を挙げました。「人生の黄金時代は年を取ってからもあるというのがこの本のメッセージ。読んで将来に希望が持てた。読書は、その人の考えや体験を言葉にしていて、自分がまだ分からない感情が体験できる」と語ります。
「読書で自分の成長を感じた」と話すのは、るいさん(3年)です。「『星の王子さま』(サン=テグジュペリ)は、一度目に読んだ時はよく分からなかった。最近、新訳が出てあらためて読んだら全然感じ方が違った」と言います。
長野の史和さん(1年)はライトノベルを中心に50冊ほどの本を持っています。「最近読んだ本は峠三吉の『原爆詩集』。原水爆禁止世界大会に参加して原爆を扱った文学作品に触れたいと思った。被爆者の声が聞こえてくるようで原爆に対する怒りや悲しみが強まった」と話します。「本が今の自分をつくってくれた」と話す史和さん。
「将来はさまざまな困難を抱える人たちを助ける仕事をしたい」と言う史和さんですが、以前は「それを全部やるのは無理かな」とも思っていました。しかし、その時読んだ本の主人公に励まされ、「主人公を見て、自分も全部やっちゃえと思えた」と言います。「本から受け取るメッセージは心の支えになる。いろいろ悩みを抱えたとき、やらなきゃいけないときに逆転の発想を与えてくれる。いい影響をもらっている」

本に親しむ機会を
1%e3%82%ab%e6%9c%88%e3%81%ae%e8%aa%ad%e6%9b%b8%e9%87%8f文部科学省や民間の調査(左図)では、読書が好きと答えた高校生の割合は約6割。その一方で、1カ月に1冊も本を読まないという高校生は半数に上ります。読書量の平均は1カ月で1・5冊。学業や部活、アルバイトなどで忙しく読書時間を確保するのが難しいのが原因といいます。
取材では、普段まったく本を読まないという高校生にも出会いました。街頭取材に応えたゆたかさん(17)は「普段はまったく本は読まないけど、東野圭吾の小説は先が気になって読む」と話します。読んだきっかけを聞くと「学校で本を読む時間があった。サスペンスはわくわくする」と言います。同じようにまったく読まないと言うゆうさん(17)も「夏目漱石の『こころ』を授業で読んで、一人で読んでいたら気付かなかったところも、授業で読むと登場人物はそんなことを考えていたんだとか見方が変わって面白かった」と、印象的だった読書体験を語ります。
由紀さん(2年)は高校生になってから読書量が減ったと言います。「中学校までは学校の図書館で借りていたからたくさん読んだ。今でも読みたいけど高校の図書館は不便な場所にあるし、興味を引く本が少ないので読まなくなった」。
本を読むことが楽しいと感じる経験とともに、本を読める環境の整備が求められています。

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