核兵器のない世界へ 被爆者と共に 新春座談会

2017年は国連で核兵器禁止条約の交渉が開始されるなど、核兵器廃絶に向けて大きな転換点となる年です。被爆者の田中煕巳さんと青年が運動にとりくむ思いや新しい年への展望を交流しました。

1面メーン

建造から70年を迎える第五福竜丸の前で核兵器廃絶への決意を新たにした(左から林田さん、田中さん、岩室さん)

 

座談会の参加者
岩室結依さん 学生同盟員、NPT再検討会議等に参加
田中煕巳さん 日本被団協事務局長
林田光弘さん ヒバクシャ国際署名キャンペーンリーダー

 

 「被爆者の呼びかけ インパクトある」

―田中さんは長年「再び被爆者をつくるな」とうったえてきました。「ヒバクシャ国際署名」を呼びかけた思いを教えてください。
田中 被爆者たちは「絶対に原爆投下があってはいけない」という思いがあります。戦後も生きていく苦しみがあり、その苦しみは誰にも味わわせたくないという気持ちがあるわけです。
なかなか核兵器がなくならない中で、私たちは年を取っていく。どうしたらいいんだろうという気持ちに駆られていました。核兵器をなくす筋道ができれば人類は生き延びていけるかもしれない、何をやろうかと議論して決まったのが署名です。「これだ!」と思いました。
被爆者自身が直接呼びかけた署名は今までになく、より多くの人に受け止められるのは間違いないと話になりました。みんなが思いを書いてきて、議論を重ねて呼びかけ文が出来上がりました。
署名に熱意を持った人たちだけじゃなくて、誰もが署名できるような運動にしたい。核保有国を含めた世界が、世界の市民が動かないと実現できないので、広くいろんな人たちに呼びかけていくということをずっとやってきました。
―林田さんは被爆者の願いを受けて、どんな思いで署名にとりくんできましたか。
林田 被爆者が初めて呼びかけた署名はインパクトがあると思いました。
僕は被爆者の呼びかけ文が非常に重要だと思っています。被爆者は「もう二度と被爆者をつくりたくない」という思いでやっている。自国民だけでなく誰も被爆者になってほしくないと。自分が見た死体だったり、苦しんだ人たちを、誰であろうとつくらせないという思いは、普遍的なメッセージがあるはずだし、それを世界は受け止めるべきだと思います。
「核抑止力」といって他国の喉元に突き付けている兵器がそれだけ非人間的な物であることを自覚させるためには、被爆者の声を聴くしかない。被爆者の声を広げるための行動として署名がいいと思いました。私たち日本人は唯一の被爆国の市民として、世界に対して、どんな国の子どもたちであろうと、被爆者にしてはいけないというメッセージを伝えないといけないと思います。

世界の流れは核廃絶

身近なところから署名を広げてきたという岩室さん

身近なところから署名を広げてきたという岩室さん

―岩室さんは大学や街頭で署名を集め、どんな声に出会い、どう答えてきましたか?
岩室 民青では折り鶴宣伝にとりくんできました。街角に机を置いて、署名を書けなくても核兵器をなくしたい思いがある人もいるから折り鶴を折ってもらいます。署名宣伝はシールアンケートもやっています。「核兵器必要ですか」「必要じゃないですか」とアンケートボードで対話していくと、ためらいというか、核兵器は必要じゃないと思っているけど、廃絶できるか分からないとか、「核抑止力」論に不安を持っていたりとか、一人ひとりの思いを聞くことができます。
田中 いいですよね。足を止めさせるのが難しいものね。
岩室 アンケートを見せながらちょっと並走したりして(一同笑い)。
2015年のNPT(核不拡散条約)再検討会議ではニューヨークでも署名宣伝をしました。言葉が通じないということもあるけど署名では、核兵器は要らないという人には出会えても、そうでない人は止まらない。でもシールボードだと、賛成っていう意見にも出会えて、そういう人と話すのも刺激になります。
―「核抑止力」が必要と思っていたり、あきらめを持っている青年に出会ったときにどんな話をしていますか。
岩室 歴史的に見ないといけないと思います。いま核兵器禁止条約の交渉を開始するというところまで進んでいて、世界は動いていることを伝えるようにしています。「本当はどうしたいか」を聞くことも大事にしています。「核兵器はない方がいい」という青年は多いです。対話してその人自身の思いに迫り、実現の展望を伝え、一緒に行動しませんかと話しています。
―長い視野で見て、国際社会は大国の力関係だけでなくて、非同盟諸国会議やNGOなどが国連の舞台の場で核兵器廃絶の鍵を握り、核保有国と対決していることを伝えていく必要がありますね。
林田 広げる力を発揮したいですね。
田中 「どういう時代にしていきたい?」とか「こんな世界に生きていきたい」ということを交流してもらえるといいな思います。
(2面につづく)