世界が日本に求める 子どもへの約束

18歳未満の子どもの人権を守るための国際条約「子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)」(以下「権利条約」)。今年は日本国内での権利条約の実施状況が国連に報告される予定です。高校生の生活と願いから権利条約実現の意味、権利を学ぶ意味を考えます。(高校生は仮名)

6-7面メーン

「子どもに最も良いこと」を第一に
権利条約は子どもを権利の主体として尊重し、幸せにする世界の約束です。1989年に国連で採択され、日本政府は94年に批准・発効しました。権利条約は、「子どもの最善の利益」(第3条)を何よりも大切にしています。子どもの健全な発達を保障する責任は締約国・日本政府にあると書いてあります。
権利条約は、家庭で子どもの心と体が健康に育つように制度面での支援を国に求めています。子輝さん(3年)は「幼稚園の時は、親からよくたたかれていた。当時は自分が悪いことをしたからだと思い込んでいた」とふり返ります。母親には精神的な病気があり、子輝さんの育児をどうすればいいか悩んでいたといいます。育児相談にたどり着き、支援を受けられるようになってからは関係が良好になりました。その後、両親は離婚し、子輝さんは父親と暮らしています。「母親と一緒に暮らせないのは寂しいけど、毎日、母親からお弁当を受け取ってから学校に行く。母親が自分のペースで暮らせるようになって元気になったから良かったと思っている」
子輝さんは「学校ではさらっとしか習わず内容を知らなかった。子どもの人権を侵害していることがあるって大人は意識を改めてほしい。子どもを大事にするのは国の責任だって友だちにも知ってほしい」と話します。「育児や介護の責任を家族にだけ背負わせるのは無理がある。国は相談窓口など支援を増やしてほしい」

大切にされることを学ぶ

「権利が保障されている実感はない」と話す男子中学生(2016年12月29日、渋谷)

「権利が保障されている実感はない」と話す男子中学生(2016年12月29日、渋谷)

教育を受ける権利(28条)は、学校のルールが「子どもの尊厳」を守るものである必要があるとしています。教育の目標(29条)は、子どもの可能性を最大限に伸ばすものであり、自分も他人も大切にされる存在だと知って平和で平等な社会をつくる存在に成長することだとしています。
米国のある小学校の校則では「私は、幸せで、あたたかく扱われる権利を持っています。このことは、誰も私を笑ったり、私の気持ちを傷つけてはいけないことを意味します」と、権利とともにお互いを尊重し合うルールを示しています。
班でいじめ問題について学んだ亮平さん(中学3年)は、「日本では、いじめられて命を落とす子どもがいるので、子どもの権利が守られているとは思わない」と言います。亮平さん自身、悪意のある発言が出るような教室の中で、周りを信頼して発言できなくなり自分の思いも分からなくなっていきました。民青の活動では「自分の意見を聞いてくれる人がいるのはうれしいし、肯定されている気持ちになる。人の意見を聞いて新しい考えが生まれるのも楽しい」と魅力を語ります。学校が、一人ひとりを尊重する場になることが必要です。
日本では、家計によっても子どもの学ぶ権利が、侵害されています。早苗さん(2年)は、少しでも学費の安い国公立大学に進学したいと学習塾に通っています。「家計が苦しいことは分かっているから自分のためにお金を使わせるのは苦しい。浪人したら余計にお金がかかるからと親と相談して決めた」と早苗さん。「日本は家庭によって勉強できる環境に格差がある。その国の未来をつくる子どものことを考えてほしい」と話します。