住民・国民の暮らし 命守る仕事 公務労働のやりがいと働く実態

住民・国民の生活や命を支える仕事を担う公務員。マスコミによるバッシングや歴代政権の人員削減で職場は疲弊しています。公務職場で働く青年に働く実態と公共サービスを支える思いを聞きました。(文中の青年は仮名、松浦裕輝記者)

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▲遅くまで働き帰宅する公務員のイメージ写真(本文とは関係ありません)

 

社会とつながる喜び
公務職場で働く青年はそれぞれの仕事にやりがいを感じ、「全体の奉仕者」(憲法15条)として地域や社会とのつながりの中で役割を発揮しています。
自治体の職員として農業支援をしている田村豊さん(26)は「直接生産者に働きかけて、多く米が収穫できたり経営が良くなったり、感謝されるとやりがいを感じる」と話します。田村さんは農家の所得向上を目的に、田んぼの巡回、害虫対策や収穫量を増やすための相談などを行っています。入職して3年目、知識も増え生産者との関わり方も変化しました。「肥料を使ってもらうにしても数字を示すと納得してくれる。一方的な説明でなく『できない』という声も聞いて、対話する」ことを大事にしています。生産者とだけでなく地域社会との関わりで仕事の役割を実感しているという田村さん。「一次産業がしっかりすれば地域社会も元気になる。農業が続けられることで環境の面でも住みやすくなる。農業はそういった役割も担っている」
国土交通省の整備局で働く竹田祐介さん(35)は公園整備を担当しています。実際に公園を見て回り、傷んだ公園の道路や水道管を直したり、樹木や花壇などの管理をしたりしています。「利益に関係なく国民の役に立てるような仕事に就けたら」と公務員になった竹田さんは当初、「上司から頼まれた仕事をこなすので精一杯だった」といいます。今では「道路を直す時に幅を広げて車いすの人が楽に通れるようにしたらどうか」など住民の目線で提案できるようになりました。「(公園は)避難場所として防災の拠点でもある」と仕事の意義を語る竹田さん。「地域の自然を守り、いろんな人のコミュニケーションの場にもなる」と来園者と接することに喜びを感じています。

 

憲法に根差して仕事したい
公務員の割合教育や福祉も住民と密接に関わる公共サービスであり、公務員が支える大切な仕事です。
自治体の福祉職として働く西村聡美さん(26)は障害者支援の窓口を担当しています。障害者手帳の交付やヘルパーをつけるなどのサービスの支給決定、そのための調査や訪問などケースワークを行っています。「一人ひとりに対する支援が多様で難しさがある」と言う西村さん。施設内や家族からの虐待が疑われるケースもあり命に関わる責任の重さや、コミュニケーションの工夫が必要となるなど難しさがあります。少しの支援や工夫で相手の気持ちが穏やかになったり変化が見られたりするといいます。自分から気持ちを伝えることが難しい障害者とも、本人の気持ちを尊重することを大切にとりくんできました。西村さんは「生活が変化したことで笑顔が見られたりするとやりがいを感じる」と話します。
地域の住民の暮らしや命を支える役割を担う公務職場は、歴代政権の公務員削減や社会福祉削減によって脅かされています。
西村さんは「政策がもろに響いてきている」と話します。人手不足で残業時間が過労死ラインの月80時間を超えることも多いといいます。「遅くまで仕事をしていると適切なケアを考える思考能力がなくなる」と西村さん。実際に、所属する部署では書類の発行などが滞り、住民へ不安を与えていることもあるといいます。一人ひとりに寄り添った丁寧なケースワークとの間で葛藤しました。「その場しのぎで回している。余裕があれば、もっと良いケアにつなげていけると思う」
西村さんは窓口で公的サービスの切り下げについて住民から非難を受けることがあるといいます。「憲法にのっとって健康で文化的な最低限度の生活を保障するべき」と言う西村さん。安倍政権の社会保障削減路線によって住民と公務員が分断されることに憤りを感じています。「市民の生活を良くしたいと思っている。より暮らしやすいように、必要な支援を受けられるようにしたい。でも、そこが国の方針や制度で縛られる。(住民と)一緒の方向を向いて働いていきたい」(2面につづく)